森がささえるみんなの未来
(お子様向けコーナー)
日本は山が険しく、一度に大量の雨が降ると洪水が起こりやすくなります。また逆に、雨が降らないと水不足の心配がおこります。しかし、森林が山をおおえば、雨水を速やかに地中に吸い込み、吸い込んだ水を少しずつ川へ流してくれるので、洪水や水不足が起こりにくくなるのです。このようなことから森林は「緑のダム」といわれています。
森林におおわれた土地は、落ち葉や草などによって地表がおおわれ、たくさんの樹木の根がはりめぐらされているので、土砂が簡単に崩れるのを防いでいます。これは同時に雨などにより土が削られたり、土砂が川へ流れ出たりすることを抑えています。土砂が流出すれば、川や海までも汚れることになりますが、森林があることで川の水の美しさも保たれているのです。
私たちが普段使っている水は、そのもとをたどっていくと、その多くが森林から生まれた水です。森林は、雨水が地中にしみ込む道程で水をろ過したり化学物質を吸い取って水をきれいにしています。森林が生みだす水は汚れがなく、岩石の間を通ることによりミネラルを含んだ地下水になります。地下水はやがてわき水となり地面に出て、川の水といっしょになります。だから山で飲む水はおいしいのです。
地球の気温は、空気によって保たれています。空気の中でも、特に気温を保つ効果が高い温室効果ガス(二酸化炭素など)が増え始めたため、地球の気温が上がってきています。これが最近問題となっている地球温暖化です。森林は空気の中の二酸化炭素を取り入れて光合成に利用し、酸素をはき出しています。森林は地球温暖化の主な原因である二酸化炭素を吸収し、貯蔵してくれているのです。
森林には美しい景観をはじめ、川のせせらぎや小鳥のさえずり等の音、すがすがしい香り、木の実やきのこなどの味覚など、人の五感を通じて快適に感じさせてくれる働きがあります。そのため森林はレクリエーション活動や教育の場として活用していくことへの期待が高まっています。また、多様な野生生物が生息する場として重要な役割を果たしています。みんなも森に足を運んでみませんか?
木の家は湿度が50%くらいに保たれ、湿度50%前後に弱いインフルエンザウイルスなどが生息しづらいといわれています。また、木材はプラスチックなどと比べて、作るときに使うエネルギーの量が少ないので、地球温暖化のスピードを抑える役目を果たしています。森林は、健康と環境に優しい木材となって私たちの生活を支えてくれているのです。
木材を使うことは木を切るので環境破壊と考えるかもしれません。けれど、人が植えた木は手入れをしないと健康に育ちません。反対に、過密した森林を放っておくと、もやし状の木となって森林としての大切な役割を果たせなくなってしまいます。森林を守るためには、木を育て、木を利用し、また苗木を植える、そんな活動が大切なのです。