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My Life is... #51

#51 安来市役所 金築旬さん

#51 安来市役所 金築旬さん

地元の地域振興に貢献したい!

  • ─ 安来市役所に入ったきっかけは?

     安来市で生まれ育ち、地元の高校を卒業した後、島根大学に進学しました。安来市は、松江市や米子市に30分ほどで遊びに行けますし、普段は自然に囲まれた静かな環境の中でゆったりと生活できるまちです。その暮らしやすさがすっかり身に付いていたため、進学や就職時にも、地元を出ようという思いは少なかったです。大学時代に地方行政に興味を持ち、特に中山間地域の振興策について深く知りたいと思っていたところ、島根県庁に入庁した先輩から「隠岐の島町にIターンして地域振興に取り組んでいる人がいるから、会ってみたら」とアドバイスをもらい、実際に友人と隠岐の島を訪ねてお話を伺いました。そして、隠岐の島で会った方から「江津にも同じようにIターンして頑張っている人がいる」と教えてもらい、江津市にも出掛けて間近で活動を拝見しました。そうした経験から、県外の方から見た中山間地域の魅力をあらためて実感し、その方々の「この地域を活性化したい」という熱意に刺激を受け、自分も地元・安来市の振興に貢献したいと、平成27年に安来市役所に入りました。

    ─ 仕事内容を教えてください。

     入庁時は農林振興課に配属になり、林業と畜産を担当していました。安来市内には母牛を飼育して子牛を産ませ、子牛を市場に出荷する和牛の繁殖農家が多く、そういった農家の畜舎を獣医師と一軒一軒回って牛の予防接種を行ったり、昨年は仙台市で開かれた全国和牛能力共進会に同行して牛の世話を手伝ったりしていました。林業では、安来市を管轄するしまね東部森林組合と県と協力し、ナラ枯れ菌の蔓延を防ぐための事業を行ったり、市内の山林をパトロールしたりしていました。それまで全く畜産や林業に触れる機会がなかったので最初はとても戸惑いましたが、先輩や関係機関の皆さんに教えていただき、自分でも勉強して専門的な知識を身に付けていきました。
     そして、平成30年4月から政策秘書課の広報広聴係となり、現在は広報やすぎ「どげなかね」を作成しています。畜舎や山に出掛ける生活から、毎日スーツで出勤する生活に一変しましたが、農林振興課も広報広聴係も地域に出かけて、地域で活動する人々とつながる仕事なのは変わりありません。広報紙作成の仕事は、地域でいろいろなことに取り組んでおられる皆さんの思いや、その活動の様子を広く伝えることができるので、楽しさとやりがいと共に責任感も感じています。

幅広く読んでもらえる紙面を提供

  • ─ 仕事で心がけていることは何ですか?

     広報紙は月1回発行していています。毎号、特集内容を考え、地域で開かれた催しなどを取材して記事にしています。文章を書く経験も少なかったので、先輩方の文章を参考にしたり、研修に参加したりして書き方を学んでいるところです。昨年11月に発行した12月号の特集では消防団を取り上げました。安来市内でも少子高齢化が進み、地域に若い人が少なくなっているため消防団への参加者が減少しています。しかし、消防団は消防活動だけでなく、地域の祭りの手伝いや住民の見守り活動など、地域をつなげる重要な役目を担っておられます。掲載の半年ほど前から消防団の活動を追い、その役割の大きさを痛感しました。消防団の皆さんの思いが伝わるよう、たくさんの方に取材して6ページにわたる特集記事を書き上げました。
     これまでの取材を通して、地域の皆さんが「この地域を自分たちの手で盛り上げたい」という熱意を持って取り組んでおられることがよく分かりました。その取り組みを広報紙で多くの方に広めることで、その地域の人のモチベーションをあげたり、ほかの地域の人への刺激になったりすればと願っています。そのために、読みやすい文章と、記事を読んで行動を起こしたくなるような紙面づくりを心掛けています。

    ─ 安来市役所のいいところを教えてください。

     安来庁舎は平成29年に新しく完成しました。昭和31年に建てられた旧庁舎は建築後61年が経って老朽化が進み、耐震性や利便性などに問題がありました。そこで平成27年から同じ敷地内で新庁舎の建設工事に着手し、自然の通風や換気、採光を取り入れた環境調和型の庁舎へと生まれ変わりました。構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造の4階建てです。外壁はたたら製鉄をイメージし、安来らしさを表現しています。庁舎では、防災拠点施設として72時間稼動の非常用発電機も整備しています。その他、4階には展望テラス、木戸川沿いにはプロムナード等、市民の憩いの場も整備しました。明るく開放的な造りとなっています。
     また、他機関が主催する研修に積極的に参加できるのも、市職員として知識や経験を増やすのにとても役立っています。例えば、東京で開かれた日本広報協会のセミナーに参加して文章の書き方を学びました。その中で、取材で得た情報をまずは書き出し、その中で最も伝えたいことを決め、それに沿うように情報を並べるという具体的な指導に深く納得できました。ほかにも、日本経営協会の研修で紙面のレイアウト方法を学びました。


  • 内勤時はパソコンで情報収集や事務処理をこなします。

  • 広報紙制作のために常にデザインの勉強を怠りません。

  • 取材時に活躍する一眼レフを使って展望テラスで撮影の練習。

若手で地域を盛り上げたい

  • ─ プライベートのことを教えてください。

     農林振興課時代に先輩から誘われて、一昨年から釣りを始めました。境港から船で沖に出る本格的な釣りで、キジハタやヒラマサ、白イカなどを狙います。釣った魚は持って帰り、母にさばいてもらって家族で食べています。やはり自分で釣った魚のおいしさは格別ですね。自分でも魚をさばけるように、母にさばき方を習っているところです。
     あとは、高校時代に部活でしていたテニスを社会人になってから再開しました。最初は、安来運動公園に行って一人で壁打ちをしていたのですが、年配の男性から「うちのサークルで一緒にしよう」と声をかけてもらって、週1回、市民サークルで幅広い年齢層の方々と一緒にテニスで汗を流すようになりました。仕事が忙しくなり、最近はほとんど参加できていませんが、また時間をつくって行きたいです。
     政策秘書課に移ってから触るようになったカメラも興味が出てきています。現在は課が所有する一眼レフカメラを使って撮影していますが、いつかは自分のカメラを持ち、風景写真を撮影しに出かけたいです。そして、地元の美しい風景を市内だけでなく全国、世界の人々に見てもらえる機会をつくれたらいいですね。

    ─ 将来の夢を教えてください。

     尊敬する先輩方がたくさんいるので、そういった方々から仕事に対する姿勢やノウハウを学び、先輩方のように自分も市に貢献できる人材に成長したいです。これまでに、農林振興課の上司からは「率先して現場に出る」という市職員としての気持ちのあり方を教わりましたし、政策秘書課の上司からはテレビや新聞などで安来のことを取り上げてもらうための方法や、有効な市のPR方法などを叩きこんでもらっています。こんな風に尊敬できる方々と仕事できて、安来市役所に入って本当に良かったと思っています。
     また、市役所内の20~30代の若手職員で集まって、行政シミュレーションゲームの制作を進めています。そのゲームは、プレイヤーが仮想都市Y市の幹部となり、未来のまちづくりを体験しながら、地域が抱える課題に触れ、その課題の解決策を考えていく内容になっています。地元の高校などでテストプレイをした時は、体験した高校生たちから「市政の運営がどういう風に行われているのか分かった」と好評でした。今後も高校生のような若い人たちから働き盛りの世代、高齢者まで、安来市に住む人たちとのつながりを大事にして、住民の皆さんが自分のまちに愛着を持ち、「ここに住み続けたい」と思ってもらえるよう、広報の仕事や若手職員の取り組みに励んでいきたいです。


  • 先輩から勧められて始めた釣りの自慢の道具

  • 同僚と意見交換をしながら楽しいひと時

  • 学生時代からのテニスは地域の人とも楽しんでいます

  • 安来市

    島根県の東の玄関口、安来市。古くから農業や製鉄で栄え、長い歴史や伝統に彩られた自然豊かなまちです。
    近年、広瀬町にある月山富田城跡は整備が進められ、全国の山城ファンから注目を集めています。また、富田城の「御城印」が人気です。地元の広瀬和紙を使用し、富田城歴代城主の家紋やご当地の戦国武将の山中鹿介のシルエットをデザイン。難攻不落の城ということで受験生などにおすすめです。
    安来市の歴史を探りにぜひお越しください。
  • 柄木孝志