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My Life is... #30

#30 ほくほく つながる 鳥取県北栄町 生涯学習課長 杉本裕史

#30 ほくほく つながる 鳥取県北栄町 生涯学習課長 杉本裕史

由良台場の魅力を知って郷土に誇りと親しみを

  • ─ 北栄町役場に入ったきっかけは?
      県外の大学に進学しましたが、バスで帰省する度に、ふるさとの緑の多い景色にホッとして、ゆくゆくは戻ってきたいなと考えていました。県外での就職も内定していましたが、いずれ帰るのなら今でもと、大学卒業のタイミングで旧大栄町役場に入りました。役場を選んだ理由は、人の生活や人生に直接関われる仕事だから。中学時代に遠藤周作の「ヘチマくん」やユーモアあふれるエッセイを読んで、人は弱い、弱いと分かってこそ人は強くなれる、というメッセージに共感し、漠然と人に関わる仕事をしたいとずっと思っていたんです。

    ─ どんな仕事をされていますか?
      さまざまな課を経験してきました。税務課から始まって、町民課、総務課と、産業関係以外の業務にはほとんど携わってきていますね。現在は生涯学習課長として、町内にある全国屈指の史跡「由良台場跡」を守り伝えるために、「住民力で地域を守るために造られた」「幕末に全国トップレベルの技術力があった」をキーワードとして、さまざまな取り組みを展開しています。例えば、サポーターとして関わっていますが、由良台場では昭和30年代に大相撲巡業が行われて大変なにぎわいでした。その盛り上がりを復活させようと、ゴールデンウィークには、地域の事業者とクリエイターが飲食ブースや体験教室などを開いて地域の魅力を伝え、楽しむイベント「さんいんまちなかALWAYS」を開催したり、昨年は、鳥取県を中心に活動する社会人プロレス団体「鳥取だらずプロレス」が試合をしたり。町内外にその素晴らしさと憩いの場であることをアピールしています。

一生懸命な人を応援したい

  • ─ 仕事で心がけていることは何ですか?
      人が笑顔になったり、ホッとしたりするような取り組み、サポートをすることです。できるだけ相手の立場になって考え、町として何ができるかに努めています。そもそも人って不思議で奥深いと感じていて、一生懸命がんばっている人を見るとつい応援したくなるんです。何かをしようと集まっている人たちの中に入って、みんなの力がうまく発揮できるようにサポートする、コーディネーター的な役割をすることが多いですね。今、まちづくりのイベントを行政が主体となって開いたりしていますが、やっぱり行政中心になり過ぎると、参加者も受け身になってしまう印象があって、そうなると長続きしない。あくまでもぼくたちはサポート役で、地域を元気にしたいと思う人が中心となってまちづくりを進めることで、地域に活力が生まれるのだなと感じています。
  • ─ 北栄町役場の良いところを教えてください。
     各部署で連携して、同じ方向を向いて事業を進めていけるところですね。小さな町なので町民さんとの距離も近く、町民さんの状況を把握して仕事ができるのは、行政にとっても町の人たちにとっても良いことだと思います。
     今は部下を育てる立場になり難しさも感じていますが、最近特に話しているのは「得意をどんどん伸ばそう!苦手は一人で抱えず同僚、上司に話して対応しよう」ということです。職員同士のチームワークがとても良く、お互いの力を補い合いながら、さまざまな事業やイベントを進めています。

  • 部下との打合せ風景。

  • 庁内外の方との電話でのやりとりも多い。

  • 北栄町のPRになるように移動車もラッピングカー仕様。

地元の祭を守り伝えて、地域と共に生きていく

  • ─ プライベートはどう過ごされていますか?
     帰ってきた年に由良宿の実家を建て替えました。その年に父が亡くなり、母も6年前に亡くなって今は一人暮らしです。趣味は読書、映画、アニメ観賞と幅広いですね。あれこれものを見ること選ぶことも嫌いじゃないです。今している時計は、ぼくが生まれた年に作られた時計の復刻版。財布もコンパクトなのに使い勝手が良くて10年ぐらい使っています。その商品の機能と背景を考え、楽しみながら、お気に入りのアイテムを増やしています。
     鳥取県の伝統芸能である地元の祭「由良だんじり」には十数年関わってきました。小学校入学前の子どもたちが祭の前1ヶ月半ほどかけて太鼓や踊りを練習するのですが、その指導をしたり、祭当日に神輿をかついで町中を練り歩いたり。保存会もなく、若者がなかなか集まらなくて大変でしたが、みんなで力を合わせて大きな祭を成功させる達成感は格別です。子どもたちの成長する姿も見られて、充実した時間です。今も相談を受けたり、由良の祭で子ども神輿の世話をしたりしています。

    ─ 将来のビジョンを教えてください。
     北栄町に住んでいる人たちが「北栄町っていい町だな」って思ったり、子どもたちに「北栄町が好きだから帰ってきたい」と言ってもらえるような町にしていきたいですね。プライベートでは、話し好きなので、これからも人との関わりの中で信頼関係を育みながら、友達や家族、地域の人たちと心豊かに穏やかに過ごせればと思います。

  • 団長を務めた「由良だんじり」の様子。

  • 趣味の読書は、絵本から小説・雑誌まで幅広く愛読中。

  • お気に入りの小物たち。

  • 北栄町

    北栄町は、平成17年10月1日に旧北条町と旧大栄町が合併して誕生しました。北は日本海に面し白砂青松の景色が広がる砂丘地帯があり、南は黒ぼく畑の丘陵地帯が広がっています。この恵まれた地で、全国ブランドの大栄西瓜をはじめとして、砂丘ぶどう、らっきょう、長いもなど、多くの農産物が生産される県内有数の農業の町です。また、「名探偵コナン」の作者、青山剛昌先生の出身地でもあり、「青山剛昌ふるさと館」を中心に、ブロンズ像やレリーフなどを設置し、全国・海外から多くのコナンファンが訪れています。今春には、『コナンの家 米花商店街』もオープンし、ますます「名探偵コナンに会えるまち」を展開しています。
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