山陰合同銀行

My Life is... #27

食を通して繋がる 木次乳業有限会社 営業部営業課 安部翔平

食を通して繋がる 木次乳業有限会社 営業部営業課 安部翔平

基本は「食」。水産物から農産物へ

  • ─ 木次乳業に入ったきっかけは?
      私は木次乳業がある雲南市の隣、奥出雲町で生まれ育ちました。高校卒業後は東京の北里大学の水産学部へ入学し、2年生からは岩手県大船渡市のキャンパスで過ごしました。最初の就職は水産食品と関わる事ができる築地市場のマグロ店へ。その3年後、築地で出会った妻と、子育ては田舎の自然の中でしたいという想いから、結婚を期に島根へ戻りました。
     木次乳業に決めたきっかけは、当時読んでいた本『自主独立農民という仕事(森まゆみ著)』に相談役の佐藤忠吉氏と木次乳業の話が書かれていた事と、前職と同じ食品を扱う仕事だったので入社を決めました。自然に根差した良いものをつくり、お客様にお届けしている会社だと思います。

    ─ 仕事内容を教えてください。
     今は営業を行っています。お得意先のスーパーを回ったり新規開拓なども。それと、イオン松江ショッピングセンター内にある「モリモリ奥出雲(産直市)」の担当で、商品の仕入れや品質の管理も行っています。
     木次乳業では30年前から牛乳配達を通して、地元のおいしい米や野菜も一緒にお客様のもとへ届けていました。その中で農家さんとの繋がりもできまして、農産物の販売を積極的に行うことになったのです。地域の農業の手助けになればという思いもあります。その思いから「モリモリ奥出雲」では、木次乳業の商品だけではなく、奥出雲地域(奥出雲町・雲南市・飯南町)の農産物や加工品を取り扱っています。どこの農家さんも自然に根ざしたものを手塩にかけて作っていらっしゃいます。野菜や食べるものを作ることは、とても手間暇がかかり、時給計算するとこの値段ではないはず…。そんな思いから、よく売り場ではお客様に農家の方たちの話や野菜栽培の話をしています。それによって、「ここにあるものは安心」と思ってくださればいいかなと。採れたて野菜はおいしいですし、地のもの旬のものを食べると体に良いと思います。子どもを育てているお母さんたちには特に、食の安全には興味を持っていて欲しいですね。

人と繋がることは地域ともつながる

  • ─ 仕事で心がけていることは何ですか?
      大切に思っているのは人の繋がりですね。前職の築地市場では人が密集していたので人付き合いは大事でしたし、岩手では漁村で暮していましたから、ホタテをもらったり、ワカメをもらったり、都会にないような昔ながらの繋がりの中で過ごしていました。今も人との繋がりを大事に思いながら、知り合いのところへフラッと寄ったり、声をかけたりしています。
  • ─ 会社の良いところを教えてください。
     社員が60人程いますが、知らない人がまずいないですね! 工場や牧場、ヘルパーさんなど、みんな目の届く距離で感じています。そういう意味では安心感の中で働いていると思います。地元の人も多いですが、最近はIターン者も多く、田舎でありながら地元外の人も入ってこられるフレンドリーな会社です。
     また会社では牛乳を毎日飲んで良いことになっています!牛乳は自然のものなので季節によって味が違うんですよ。冬は脂肪分が高くなり、まろやかに感じます。反対に夏はさっぱりとしています。

  • 「モリモリ奥出雲(産直市)」にて。

  • 「モリモリ奥出雲(産直市)」の店長との打合せ風景。商品の売れ行きを見ながら仕入れの相談を。

  • 商品が見えやすいように陳列を整理している様子。

昔の山暮らしを仕事にも生活にも

  • ─ プライベートのことを教えてください。
     妻と小学校1年生と3歳の女の子の4人で暮しています。
     趣味の一つは神楽で「西日登神楽社中」に所属しています。地元の奥出雲町阿井地区は、お祭りになると神楽を呼んで奉納してもらう地域だったんです。いろいろな社中の出雲神楽が楽しめ、子どもの頃から神楽が好きでした。今は神楽を舞う側で、さまざまな役を演じています。出雲大社で奉納をしたり、地域の方に向けて地元の夏祭りや保育園で披露しています。
     もう一つの趣味は釣りです。網でアユを獲ったり、フライフィッシングで渓流釣りもしています。子どもは女の子ですが、夏になると川に連れて行って一緒に泳いでいます。

    ─ 将来の夢を教えてください。
     地域の中がもっと「循環」したらいいと思います。例えば魚になぞらえると、川が豊かであれば、人の手による放流がなくても、自然のままに魚がエサを探して、産卵して大きく育つ。それを人間がちょっといただき、また産卵して―というような、自然のサイクルが一番だと思います。地域も同じだと思っていて、地域の中で食べものが手に入れば良いと思います。
     「山の恵みをいただく」ということが好きで、川の鮎や畑の野菜、山中で栽培したシイタケなどを食べ、近所の猟師さんからイノシシの肉をいただいたり…そういう循環型社会ができたら良いと思います。
     今、我が社の創業者が「明治時代の農村風景」を提言していて、自分もとても共感する部分があるんです。昔は当たり前だった山の暮らしを、少しずつ行っていきたいと思っています。

  • 趣味の神楽は、地元のお祭りなどで奉納することも。

  • 家の前の川で川遊び。

  • 山の畑で子供と収穫を行うのも楽しみの一つ。

  • 木次乳業有限会社

    古の神々の物語が今も息づく神話のふるさと島根県雲南市木次町に木次乳業はあります。
    代表的な商品は木次パスチャライズ牛乳。木次パスチャライズ牛乳は、65℃30分間の熱処理によって作ります。搾りたての生乳のようなサラリとした口当たりとさっぱりとした風味が特徴です。また、胃の中でしっかりと凝固しゆっくりと消化吸収が行われる乳本来の性質が残っています。
    食べものは健康な命の源という考えのもと、木次乳業の商品づくりは行われます。本当に安心できる食べもの作りとは何かを考え続けています。
  • 木次乳業有限会社