2023/04/25
お金がない時の処方箋 緊急時の知恵と長期的な改善策で不安を解消
(写真=写真AC)
給料日前や、急な出費が必要になったとき。「お金がない」と思う瞬間が訪れると誰しも不安を覚えたり、ときには生活がつらいと感じることがあります。そんな方の不安を少しでも解消するべく、この記事では一時的なピンチを乗り切るための知恵と、長期的な改善によって「お金がない」を減らしていくための考え方を紹介していきます。
「あと◯日だけしのげれば…」という場合の緊急対策
まずは冒頭に挙げた例のように、「あと◯日間なんとかしのぐ」ということだけを考えた、緊急時の対策を紹介します。次の給料日までに「あといくら足りないか」を考え、短期集中型の対策をしましょう。
変動費の節約
家計の支出には「固定費」と「変動費」の2種類があります。固定費とは毎月定額でかかる費用で、家賃や住宅ローンなどの住居費、電気・ガス・水道などの光熱費、携帯電話やインターネットなどの通信費などのことをいいます。
それに対して変動費とは毎月支払う金額が変動する費用で、食費や日用品費、交際費や医療費などが挙げられます。抜本的な家計の改善をするなら固定費から見直したいですが、「次の収入があるまであと◯日」といった場合は、これから発生する変動費をおさえるしかありません。
ちなみに変動費の中ですぐに節約できる変動費は食費です。食費を見直すポイントには次のような項目があります。
- 外食やコンビニの利用を控えて、自炊する
- 安いからといって大量に買わず、食べ切れる量だけを購入する
- 作り置きや冷凍保存ができる食料を増やしていく
およその目安として、例えばコンビニだと1食500円~1,000円、外食すると1,000円を超える場合もありますが、スーパーの冷凍パスタなどは200円前後で販売されています。調理が簡単なので、忙しい方や自炊が苦手な方にもおすすめです。
ただし、こうした同じものに頼りがちな食生活を長期間続けることで栄養バランスを崩し、健康を害してしまっては本末転倒です。中には仕事の欠勤や通院などで収入ダウンや出費が増えることにもつながる可能性があるので、あくまで生活全体のバランスを見ながら取り入れるようにしましょう。
持ち物を売る
生活必需品ではない持ち物を売るのも、緊急対策として利用できる選択肢です。
今までに持ち物を売ったことがない方のために、リサイクルショップやフリマアプリなどでよく売買されているものを列挙します。
- 本、漫画、CD、DVD
- ゲーム機、ゲームソフト
- デジタル機器(スマートフォン、パソコン、タブレットなど)
- アニメグッズ、フィギュア
- 服
- ブランド品(バッグなど)
- 貴金属、宝石、高級腕時計
- 家具
古本や古着のように、量を多く売って数千円程度で買い取ってもらう性質のものと、アニメグッズやブランド品、貴金属などのように中古でも一定以上の価値がつくものがあります。売るものの性質に合わせて、チェーン展開しているリサイクルショップに売るのか、あるいは特定の商品に特化した買取業者を利用するのか、使い分けをすることがおすすめです。
金融機関でお金を借りる
お金を借りるのも臨時の選択肢の一つです。一時的な利用であれば金利が少なく済むため、返済計画に問題なければ賢く活用できる手段です。
クレジットカードのキャッシングと金融機関のカードローンは、両方とも手軽にお金を借りられるので急な出費があるときには便利です。それぞれ次のような特徴があります。
クレジットカードのキャッシング
クレジットカードのキャッシングは「すぐに少額を借入れたい」「借入れる機会は多くない」「カードを増やしたくない」場合におすすめです。
※クレジットカードを持っていても、キャッシング利用枠の設定がないと利用できません
金融機関のカードローン
金融機関のカードローンは「ある程度まとまった額を借入れたい」「金利を低くおさえたい」場合におすすめです。
ごうぎんカードローンの場合(2023年4月25日現在)
金利:年1.95%~年14.5%
極度額:10万円~800万円
※審査からご利用できるまでに1週間~2週間かかるので、事前に作成しておくといざという時助かります
毎月「お金がない」という人が取るべき対策

(写真=写真AC)
もし、ここまで紹介した「緊急対策」が毎月のように必要な場合、それは慢性的に収入と支出のバランスが合っていない状況だといえます。この場合は、これから紹介する方法で「お金が足りる、残る」状態をつくれるようにすると良いでしょう。
給料が固定されている会社員の場合は、いきなり収入を増やすことは難しいのが現実です。そのため、「支出の見直し」が基本的な対策になります。
長期的な家計の見直しについて考えてみましょう。
固定費の節約
先ほど少しお伝えした通り、住居費・光熱費・通信費など、毎月ほぼ決まった額がかかるものは固定費です。まずはここから見直してみると良いでしょう。
最初に、毎月何にいくらかかっているかをノートなどに書き出してみてください。
ここでの注意点は、無理をしすぎた節約は精神的な負担も大きくなり、「出費のリバウンド」の原因になることです。固定費を無理に削ろうとしても、限度があることも覚えておきましょう。
これらを踏まえた上で、固定費の見直しについてお伝えします。
住居費(家賃・住宅ローン)
賃貸に住んでいる方は、引っ越しをして家賃を下げることができるかもしれません。ただし、今より通勤時間が増えるなど不便になってしまう可能性もあります。引っ越し費用もかかるため、契約更新の時期が近付いたら、無理のない範囲で検討してみるといいでしょう。
持ち家で住宅ローンを組んでいる方は、住宅ローンの繰上げ返済と借換えに注目してみましょう。
1.繰上げ返済
資金に余裕がある場合にはなりますが、住宅ローンの一部を繰上げ返済することで利息を節約することもできます。繰上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あります。期間短縮型は毎月の返済額はそのままで返済期間を短縮でき、返済額軽減型は返済期間は変わらず毎月の返済額を減らせます。
固定費を減らすという意味では、毎月の返済額が減る返済額軽減型が有効と考えられますが、ライフプランと照らし合わせどちらの方法がいいか検討しましょう。
2.借換え
現在の住宅ローンより金利の低い住宅ローンに借換えをすれば、節約に繋がります。ただ、借換えることによって総支払額が減るかどうかは、ローン残高や返済期間によります。借換えには手数料が発生することや審査や契約に時間がかかることも踏まえ、それに見合う価値があるかどうかを判断することが大切です。シミュレーションをしたり、金融機関に相談するなど慎重に考えましょう。
光熱費(電気代・ガス代・水道代)
光熱費は「電気代」「ガス代」「水道代」とありますが、電気とガスの契約を見直すことが大きな節約につながります。まずは基本の契約を安いプランに変更して、その後は日々の節約を心掛けることが賢い方法です。
-電気代について-
電気の契約については、まず基本料金を確認し、必要なアンペア数にすることで、固定費を節約することができます。
また、2016年から電力自由化が始まり、電力会社を選べるようになりました。契約している会社自体を変えることにより支払額をおさえることができるかもしれません。インターネットで見積もりが取れますので、どのくらい変わるか確認してみましょう。ただし、金額だけではなく、契約内容についてしっかりと確認するようにしましょう。
基本的なことを見直したうえで、使っていないコンセントは抜くなど、日々の使用料を節約していくと良いでしょう。また、買替えのコスト次第ではありますが、古い家電を使っている場合は、新しい家電に変えると待機電力・使用時の電力も少なく設計されているので電気代が大きく改善できる場合もあります。
節約を考えた家電の使い方の一例です。
◆エアコン
- サーキュレーターや扇風機と併用する
- 短時間の外出では消さない
- フィルターを2週間に1回は掃除する
- 室外機の近くにはものを置かない
◆照明器具
- 白熱電球をLED電球に変える
- 必要ない時はこまめに電気を消す
◆テレビ
- 長時間使わない時は主電源ごと切る
- 省エネモードに設定する
◆冷蔵庫
- ものを詰め込みすぎない
- 冷蔵庫の周りはスペースを空ける
- 扉の開閉時間、回数を減らす
-ガス代について-
次にガスの契約については、「プロパンガス」と「都市ガス」とあり、プロパンガスのほうが約2倍の力があるので料金も高い傾向にあります。こちらも電気代と同じように、ガス会社を切り替えて固定費をおさえることが可能です。
節約を考えたガスの使い方は以下になります。
◆風呂
- 浴槽にためるお湯の量を減らす、蓋をこまめに閉める
- 追い炊きの回数を減らす、またはしない
- 節水シャワーヘッドに変え、使用時間を短縮する
- お湯の温度は無駄に上げないようにする
◆キッチン
- 火力は中火以上をできるだけ使わない、鍋の蓋を使って効率的に火を通す
- 鍋底の水滴は拭き取ってから調理する
- 煮るより蒸し、蒸すより炒めるようにする(火の使用時間)
-水道代について-
東京都水道局のデータを参考にすると、家庭での水の使われ方は、風呂(40%)トイレ(21%)炊事(18%)洗濯(15%)その他(6%)なので、上位から節水を心掛けていきましょう。
◆風呂
- 浴槽にためるお湯の量を減らす
- 節水シャワーヘッドに変え、使用時間を短縮する
◆トイレ
- できる限り「小」で流す
◆炊事
- 蛇口に節水アダプターを付ける
- 洗いものは流し洗いでなく、溜め洗いをする
- 食洗器を使う(手洗いより節水できる)
◆洗濯
- 風呂の残り湯を使う(洗いのみですすぎには使わない)
- 洗濯機を回す回数を減らす
- 縦型よりもドラム型の方が節水効果あり
通信費(スマホ代・インターネット代)
通信費は主に「スマホ代(電話代)」「インターネット代」を見直すことが節約につながります。これらの節約は主に契約プランを変えるか、契約している会社を変えることです。また、あまり使用していない有料オプションなどを見直していくことが大切です。
変動費(おもに生活費)の見直し
「具体的に何に使っているかわからないけど、お金がない」という場合、小さな出費が積もって“山”になっている可能性があります。変動費は日々の見直しが必要となりますので、以下を意識していきましょう。
変動費の中でも「食費・日用品費」「医療費」にフォーカスしてポイントをまとめました。
食費・日用品費
- 1か月の食費額を決め、出来る限り自炊する
- 買い物リストを作ってから買いに行く
- 価格が安いプライベートブランドのものを選ぶ
- なるべく詰め替え用を購入する
医療費
- お薬手帳を携行する(薬剤服用歴管理指導料が安くなるケースがある)
- ジェネリック医薬品を選ぶ
普段「使わない口座」で預貯金をする
ここまでに色々な節約術をお伝えしましたが、やはりお金を貯めていくことも大切です。
お金を貯める際に大切なのが、タンス預金などにしないことです。手が届きやすい場所にあるとついつい使ってしまうので、普段使用しない口座か新しい貯蓄用の口座を開設し貯めていきましょう。
毎月残ったお金を預貯金していくやり方では思ったように貯まらなかったり、せっかく貯めても上記のように手元にあると、つい手を伸ばしてしまうこともあります。
そこでおすすめなのが「積立定期」など、毎月決まった金額を口座から引落して貯蓄するという方法です。これは、給料日など決まった日に積立分が自動で支払われるので、毎月の生活費などはその後に口座に残った金額でやりくりをしていくことになります。
この方法の良いところは、簡単に引き出すことができないので、毎月確実な金額を貯蓄できることです。
もう一つの長期的解決策:キャリアアップで収入を増やす

(写真=写真AC)
キャリアアップによって収入を増やすのも本質的な解決策の一つです。必ずしも今の職場で昇進・昇給を目指すのでなく、もし自分の経験や能力が他社でも通用するのであれば、転職のほうが早く収入が上がる可能性もあります。
しかし、いざ転職しようと思っても「自分の経験や能力が他社で通用するのか?」といった漠然とした不安があると思いますが、より自分が高く評価される場所を見つけるため選択肢として持っておくべきでしょう。
副業が可能であれば、アルバイトをして収入を増やしたり、クラウドソーシングに登録してスキルを活かしたり、次のステップアップのために新しい分野に挑戦してみることもいいかもしれません。
キャリアアップには当然時間がかかりますが、収入アップが「お金がない」という状態を根本から解決してくれるので、成功すればお財布と気持ちに余裕が生まれてくるはずです。
最後に
「あと◯日間しのぐ」といった状態は精神衛生上もよくないので、まずは節約で支出をおさえていきましょう。その際必要に応じてローンなどを利用するのも有効な方法です。
日々の生活の支出を見直したら、収入と支出のバランスを考え、将来のために必要な貯蓄をし、次は収入を増やすためのスキルアップに時間やお金を使ってもいいでしょう。
まずは節約に意識を向けて、少しずつ着実に目の前の事柄をクリアしていきましょう。