2019/10/31
中古車をローンで購入するための基礎知識|選び方・組み方のポイント
(写真=写真AC)
自動車ローンは新車にしか使えない、と思っていませんか?銀行の自動車ローンは中古車の購入にも使うことができます。
中古車であれば1クラス上の車種を狙うことができますが、そうなるとやはり価格が上がってしまいます。そこで中古車を買うときこそ、負担が少ないローンを選びたいものです。中古車の購入に使える自動車ローンを選ぶときのポイントや、無理のない返済期間の設定のコツなどを紹介します。
自動車ローンは中古車にも使える
中古車には、納車が早い、人気やグレードの高い車種にリーズナブルに乗れるといったメリットがあります。しかし、中古車といっても状態の良いものとなると費用がかさんでしまうのも事実で、預貯金など、手持ちの資金だけで支払うことができない場合もあります。
そんなときに新車購入で利用されるイメージが強い自動車ローンは、中古車の購入にも使うことができるのでしょうか。
例えば銀行系の自動車ローンは、次の用途に使うことができます。
- 新車、中古車の購入
- 車検費用、免許取得費用、カー用品購入、修理費用
- 他の自動車ローンからの借り換え
このように、銀行系の自動車ローンは、中古車を購入する際にも利用することが可能です。また、中古車の状態によっては購入後すぐに必要になる車検やタイヤの履き替えをはじめ、自動車に関するほぼ全ての支出に対応しています。
同じ自動車ローンでも、借りる先によって特徴が異なる
初めて自分で車を購入する場合慣れない手続きが多いので、中古車を購入する店舗で紹介されるローン(ディーラーローン)を何気なく選択してしまいがちです。しかし、借りる先によって金利や返済額に大きな違いが出ることもあるので、まずは大きな種別と特徴を確認しましょう。
ディーラーローンと銀行の自動車ローンの特徴の違い
貸し手 | 特徴 |
---|---|
ディーラーローン (中古車販売会社経由で申し込む信販会社のローン) |
・中古車の購入と同時に申し込める ・中古車の所有権は返済完了まで信販会社にある ・比較的金利が高い ・審査が比較的早い |
銀行の自動車ローン | ・ディーラーローンのように自動車購入時に一緒に申し込むことができない ・WEBで申し込みができる ・中古車の所有権は最初から自分にある ・比較的金利が低い ・使途が広い(免許取得など) ・購入車種が決まっていなくても申し込める ・ディーラーローンと比較すると、審査期間が長くなることもある(山陰合同銀行の場合は、正式申込みから融資まで最短4営業日) |
ディーラーローンは中古車購入時に一緒に申し込むことができますが、銀行系の自動車ローンを借りるには、基本的には銀行に出向く必要があります。最近はインターネットからの申し込みができる銀行もあるので、店舗に行く時間がない方でも簡単に申し込みができます。
なおディーラーローンは、中古車販売店やディーラーが運営しているのではなく、中古車販売店と提携している信販会社が扱っているローンです。そのため、ディーラーローンで中古車を購入すると、ローンの返済がすべて終わるまで所有権はディーラー、もしくは信販会社名義になります。
一方の銀行の自動車ローンは、購入した中古車を最初から自分の名義で所有することができます。
そして注目したいのは金利です。自動車ローンの毎月の支払額の負担の重さは、金利によって左右されます。
「負担を軽減したい」「返済期間を短くしたい」と考えている方は、金利に注目して自動車ローンを選ぶようにしましょう。
どの自動車ローンがいい?選び方のポイント

(写真=写真AC)
ディーラーローンや銀行系の自動車ローンだけではなく、他にもいろいろな金融機関が用意しているので、どれを選んだらいいのか迷ってしまう方もいるでしょう。自分に合った自動車ローンを選ぶためのポイントを解説します。
- 金利幅(最大金利がどのくらいか)
- 保証料の有無
- 繰り上げ返済がしやすいかどうか
- 手続きの利便性
金利幅(最大金利がどのくらいか)
自動車ローンには大抵、金利幅がありますが、下限ばかりに気をとられ上限は見落とされがちです。例えばあるディーラーローンの金利が「年1.0%~年8.0%」で販売されている場合、審査後に必ずしも下限年1.0%で借りられるわけではありません。この例の場合は7.0%の幅があるため、想定以上の金利になる場合もあります。
一方、銀行の自動車ローンは金利幅が小さい特徴があります。例えば金利幅が年2.5%~年3.7%であれば、1.2%しか幅がありません。上限でも年3.7%なので、金利の幅が大きいディーラーローンなどと比較すると、より低い金利で借りることができる可能性が高いと言えます。自動車ローンを検討する場合は金利幅や上限値を確認しましょう。
保証料の有無
自動車ローンには、金利に加えて保証料がかかる場合もあるので注意してください。
金利幅などを確認して低金利のローンだと思って申し込んだとしても、保証料がかかる場合は、金利が高い別のローンよりも総支払額が多くなることもあります。自動車ローンを選ぶときは、保証料負担の有無もしっかりと確認しましょう。
繰り上げ返済がしやすいかどうか
自動車ローンでは、残高を一括して支払ってローンを完了させる「繰り上げ返済」のしやすさも大切です。自動車ローンによっては、繰り上げ返済をするときに手数料が必要になる場合がありますので、借りるときに確認しておきましょう。
繰り上げ返済をしてローンを完了させると、それ以降の金利を負担しなくて済むので、当初計画していた返済総額よりも安く済むはずです。
手続きの利便性など
購入を急いでいる場合や、忙しくてなかなか銀行に足を運ぶ時間がない方にとって、手続きの利便性は重要なポイントになります。特にWEB申し込みができれば、自宅でも外出先でも申し込むことが可能なので便利です。最近はネット銀行でなくてもWEB上で手続きができる銀行も増えているので、手続きの利便性などについても確認するようにしましょう。さらにWEB申込が金利優遇項目になっている場合もあるので、インターネットの利用に慣れている方におすすめです。山陰合同銀行のマイカーローンでもWEB申し込みが可能です。
理想的な返済期間は?組み方のポイント
自動車ローンを利用するとき、返済期間を何年にするかで悩むのではないでしょうか。無理なく返済するには長期間借りたほうがいいですし、返済総額を減らすには短期間のほうが有利です。
自動車ローンの組み方のポイントを紹介します。
返済期間は3~5年を目安にする
日本自動車工業会の2017年度乗用車市場動向調査によると、中古車の保有期間で最も多いのは3年超5年以内となっています。中古車の購入で自動車ローンを利用する場合、返済期間を3~5年の間に設定している方が多いようです。3~5年が経過すると、乗っている車に飽きたり、新しい自動車をほしくなったりすることが理由と考えられます。買い替え時期と自動車ローンの返済終了の時期を同じに設定しておけば、車を手放したときに返済が終わっているため買い替えもスムーズに行うことが可能です。
また、利用期間が3~5年であれば、多少下取り価格がつくことを期待できるので、次の自動車の頭金にすることができるかもしれません。
ちなみに、中古車の保有期間で3年超5年以内の次に割合が大きいのは、5年超7年以内及び7年超10年以内で、新車の保有期間で一番多いのが7年超10年以内です。前オーナーの使用期間が7年超だった場合(購入時に7年落ちの場合)、返済期間を3年にしても新車の製造から10年以上が経過することになるので、思わぬ修理費が発生したり、売却時に下取り価格がつかなくなったりする可能性があります。
返済総額を考えて返済期間はあまり長くしない
返済総額や、平均所有期間を考えると、返済期間はあまり長くしないほうがよいでしょう。
返済期間を長くすると毎月の返済額は少なくなりますが、利息の支払いが多くなるため、返済総額が増えてしまいます。
よりイメージをつかみやすくするため、返済期間で具体的にどのくらい返済額に差が出るのかシミュレーションしてみました。
【シミュレーションの条件】
- 返済期間:2年、3年、5年、7年で比較
- 借入金額:131万円(2018年中古車購入平均単価)
- 金利:年2.5%
- 保証料を含む実質金利
- ボーナス併用払いなし
- 頭金なし
返済期間の違いによる返済総額の違い(金利年2.5%、単位:円)
返済期間 | 毎月の返済額 | 利息総額 | 返済総額 | 2年(24回払い)との差額 |
---|---|---|---|---|
2年(24回払い) | 5万6,016円 | 3万4,384円 | 134万4,384円 | - |
3年(36回払い) | 3万7,808円 | 5万1,088円 | 136万1,088円 | 1万6,704円 |
5年(60回払い) | 2万3,249円 | 8万4,940円 | 139万4,940円 | 5万556円 |
7年(84回払い) | 1万7,015円 | 11万9,260円 | 142万9,260円 | 8万4,876円 |
※山陰合同銀行のローンシミュレーションより作成
最も短い返済期間2年の返済総額は約134万円で、最も長い7年は約143万円となりました。その差額は8万円を超えます。また返済期間5年と7年では、2年の差でも返済総額に3万円を超える差があります。
毎月の返済額は、約2万円(7年)から約6万円(2年)と開きがありますので、月々の負担感と返済総額の両方のバランスを考えて、返済期間を決めるようにしてはいかがでしょうか。
まとめ
自動車ローンを利用すると家計への負担を軽減できるので、中古車の選択肢の幅が広がります。中古車との出会いは一期一会なので、こだわりの1台をみつけたら迷わず購入したいものです。
そのためには、自動車ローンを性急に選択しないようにしてください。中古車販売店やカーディーラーのローンと銀行の自動車ローンを比べて、メリットが多いほうを利用するようにしましょう。特に金利と返済期間は重要になるので、何度もシミュレーションをして、ご自身にとって最適な自動車ローンを選んでください。