2019/01/31
夢や希望の実現のために働き方と家計の見直しを進めよう!
(写真=PIXTA)
結婚すると、これまで別の暮らしをしていた2人が一緒に生活を送ることになります。日々の生活はもちろん、マイホームや子どものこと、そして車のことなど考えたいことはたくさんあります。その時に必ずついて回るのがお金のことです。夢や希望がたくさんあっても、お金のやりくりがうまくできなければ、望み通りにはいかないかもしれません。
今回はファイナンシャル・プランナーの目線から、2017年に結婚したAさん夫婦(ご主人28歳、奥様28歳)の例をもとに家計の見直しについて考えてみましょう。
気になるAさん夫婦の収支は?
Aさん夫婦
ご主人(会社員)28歳。手取り月収23万円(年収は額面420万円)
奥様(パート)28歳。手取り月収10万円。2017年12月末で正社員として働いていた会社を退職し、2018年1月からパート勤務をスタート。
収入
項目 | 金額(手取り) | 備考 |
---|---|---|
ご主人の収入 | 23万円 | 会社員(年収は額面420万円) |
奥様の収入 | 10万円 | パート |
合計 | 33万円 |
支出
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
家賃 | 8万4,000円 | 1LDK |
水道 | 4,000円 | |
電気 | 3,500円 | |
ガス | 5,000円 | |
保険 | 2万4,000円 | 自動車保険月額1万2,000円(夫婦) 生命保険(がん保障、ケガの保障、死亡保障)月額1万2,000円(奥様) |
通信費 | 1万5,000円 | 携帯2台、家のwi-fi |
運用 | 1万円 | 個人型確定拠出年金イデコ(奥様) |
車の維持費 | 2万円 | 車2台(夫婦) |
食費 | 5万円 | 外食含む(夫婦) |
趣味・レジャー | 1万5,000円 | |
日用品 | 1万円 | |
ご主人のお小遣い | 3万円 | 洋服代込 |
奥様のお小遣い | 2万円 | 美容代、洋服代込 |
奨学金 | 1万8,000円 | 2027年1月で終了(ご主人) |
自動車ローン | 1万6,000円 | 2019年5月まで(ご主人) |
合計 | 32万4,500円 |
- 預貯金は夫婦あわせて200万円ある
- 35歳までにマイホームを購入すると夫婦で決めている
- (ご主人)ボーナスは貯蓄に回してもいいのでマイホームの頭金を確保したい
- (ご主人)自動車ローンを完済したら自動車の買い替えも検討している
- (奥様)現在はパートだが、将来のことを考えると正社員として働くほうがよいと思っている
お二人から、今の収支でどのように貯蓄をしていけばよいのか悩んでいるとお聞きした私は、ファイナンシャル・プランナーとして下記のようにアドバイスしました。
ファイナンシャル・プランナーがアドバイス!2人の家計簿良い点と気になる点は?

(写真=PIXTA)
家計簿を見たところ、水道、電気、ガスといった光熱費は使いすぎているわけではありませんし、お小遣い制にして、お互いが自由に使えるお金を決めています。支出が収入を超えないようにやりくりしている様子がうかがえます。
一方、奨学金や自動車ローンなどを抱えていることがわかります。自動車ローン完済時には自動車の買い替えを検討しているそうですが、自動車の車種により自動車税や自動車保険がどのくらいかかるかも加味するほうがよさそうです。
マイホーム購入資金を貯めるためにはどうしたらよいのか?
35歳までにマイホーム購入という目標がある2人ですが、現在は生活がギリギリで貯蓄する余裕がないといいます。ご主人の現在のボーナスは年間で手取り56万円(額面70万円)で、このままの状態が続けば7年後の35歳になる頃には現在の預金と合わせて約600万円貯蓄できます。しかし、奥様はご主人が保険に入っていないことや、緊急でお金が必要になることを考えると、ボーナスを貯蓄に回したとしても切り崩しが必要になりそうなので、自分もフルタイムで働くほうがよいのではないかと考えているそうです。
マイホームを購入する際、頭金があるほうが借入額を抑えることができます。このご夫婦は3,500万円のマイホームを30年ローンで購入しようと考えています。頭金はマイホーム購入資金の2割から3割あるほうがよいと言われていますが、もしも頭金を2割用意するとしても、今の状態では100万円ほど不足する計算になります。そのため、日々の生活を見直して、奥様の不安を解消しつつお金を貯める方法を検討してみましょう。
夫婦の保険は現状に見合ったものかをチェック

(写真=PIXTA)
奥様はご主人が保険に加入していないことに不安を感じています。まずは、死亡保障を確保し、病気に備える保障も検討しましょう。死亡保障額は、公的な遺族年金でもらえる額を考慮し、必要な額だけ加入すれば無駄がありません。マイホーム購入時とお子様が誕生した時には必要保障額も変わりますのでその都度見直しをしましょう。
保険は時代の変化に応じて商品設計やプランも変わります。現在は医療の進歩によって短期入院が増えていることもあり、過去に契約した保険では保障の対象外になることも想定されます。現在の時流にあっているかを確認し、必要な保障を増やすようにします。奥様の保険も同じように見直しするとよいでしょう。
また、2人とも自動車通勤です。そのため、自動車保険も2台分必要ですから、なるべく抑えることが大切です。自動車保険の契約内容をよく比較検討し、自分たちにあった保障のみのプランに変更するようにしましょう。現在月額払いをしているそうですが、年払いにするとオトクになるプランを持つ保険会社もあります。無理のない範囲で年払いすると、トータルでの支払額を抑えることができます。
通信費は適正金額?見直しができないかをチェック
家の中でWi-fiがつながる環境ならスマホの通信料が適正かを確認しましょう。スマホの通信容量が毎月余る人はプランを下げることができないかを確認してみるとよいでしょう。また、格安スマホと比較してみるのも一案です。格安スマホの場合は、電波が届くかどうかも確認したうえでプランの見直しを考えます。
食費や日用品、趣味・レジャー費用なども見直せないかをチェック
食費や日用品、趣味・レジャー費用を見直すことができないかも確認しましょう。食費は節約レシピや作りおきなど工夫することで多少抑えられるかもしれません。また、日用品はまとめ買いをして在庫管理をしておくと、買いすぎ防止にも役立ちます。趣味・レジャー費用も現在の10%分だけでも控えるほうがよいでしょう。
働く選択肢を増やす
もう1つ忘れてはいけないのが、2人の年齢が28歳と若いという点です。これからキャリアを積み重ねる中で収入アップも見込めるかもしれません。年収が103万円を超えて配偶者控除が適用されなくても、年収が150万円以下であれば配偶者特別控除の適用が受けられます。奥様も正社員として働く意欲がおありですから、夫婦で今後のライフプランを検討したうえでフルタイムで働くのがよいのか、パートとして働くのがよいのかも含めて検討する必要があります。
夫婦でよく話し合い無理のない家計管理を

(写真=PIXTA)
上記のポイントを踏まえて、Aさん夫婦は話し合いを行い、ご主人が生命保険に加入したうえで、今の家計で毎月2万円ずつ貯蓄ができるように見直しをするそうです。それだけではマイホームの頭金を貯めるのには不足しますから、奥様もフルタイムで働き、夫婦で無理のない範囲で家事を分担し、生活することに決めたそうです。
「夫婦の収入が増えても、マイホームの頭金や住宅ローンの返済のことを考えると、今の生活から無駄を減らして、生活水準をあげずにコツコツと積み立てていきたい」とのことです。もちろん、これは現時点での2人のプランであり、今後子どもができるなど、さまざまなライフイベントの結果、今とは別のやりくりが必要になる日が訪れるかもしれません。定期的に夫婦で話し合いを行い、ベストな道を選びましょう。