2018/12/14
もしも病気やケガで入院したら……毎日の生活をどうカバーしたらいい?
家族の幸せや子どもの健やかな成長を願い、仕事に精を出す人も多いのではないでしょうか。ただ、急なケガや病気で働けなくなったら…と不安に思う人もいるはずです。病気やケガにどう備えるのがよいのかを一緒に考えてみましょう。
病気やケガで入院…費用はどうなる?生活への影響は?

毎日健康に生活したいと願うことは皆同じです。しかし、いつ思いがけない病気やケガをするかはわかりません。若い世代であればあるほど「病気やケガで働けなくなる状態」になることを想像できる人は少ないかもしれません。
入院したらかかる費用
公益財団法人生命文化センターが発表した「平成28年度生活保障に関する調査<速報版>」によれば、過去5年間に入院した経験のある人の割合は14.8%、入院日数の平均は19.1日という結果です。同調査では、病気や治療方法、入院日数などで必要となる入院費は異なるものの、入院時の自己負担費用は22万1,000円が平均とされています。
また、1日あたりの自己負担費用は平均1万9,800円で、分布をみると「1万円から1万5,000円未満」が24.5%と最も高く、「2万円から3万円未満」も14.1%と高くなっています。自己負担費用には治療費に加えて、食事代、差額ベッド代、着替えやお見舞いに来てくださった方へのお礼、雑誌やテレビ視聴代などを含みます。
健康保険が適用される範囲 |
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治療費(健康保険でカバーできない部分は自己負担) |
入院費用 |
食事代(一部は自己負担) |
自分で負担する必要がある範囲 |
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先進医療の技術費用 |
差額ベッド代 |
着替え代 |
お見舞いにきてくださった方へのお礼 |
雑誌やテレビカード視聴代 |
上記のうち健康保険が適用される範囲については、高額療養費制度を活用することが可能ではあるものの、1度入院すると退院までは平均で20日前後かかり、入院費用は少なくとも22万円前後を目安として考えたほうがよさそうです。
働けなくなることで生活にも影響が!?

病気で休職する場合のことを考えてみましょう。入院すると多額の費用がかかるだけではなく、会社を休むため収入が減少します。休職中も会社の規程に沿って給与が支払われる場合もありますが、支払われない場合は条件を満たす場合に限り、加入中の健康保険に申請をすれば、疾病手当金を受け取ることが可能です。しかしそれだけで家族の生活は維持出来るのでしょうか。
前出の「平成28年度生活保障に関する調査<速報版>」では、入院時の自己負担費用と逸失収入の総額の平均は27万円となっています。1日あたりで考えると平均2万3,900円かかるという計算です。思った以上に生活を圧迫してしまうおそれがあります。
病気やケガで働けなくなる時に保障してくれる公的制度

入院し治療しても必ずしもすぐに元気になれるわけではありません。病気やケガで自宅療養が必要になるケースもあれば、障害が残ることもあります。また、ガン、脳卒中、急性心筋梗塞の三大疾病にかかる可能性もあります。仕事ができなくなった時に受けられる保障はあるのでしょうか。
傷病手当金
病気で会社を休職している時の保障です。健康保険組合に加入している人が対象で、申請することで収入の3分の2が支払われます。支給期間は最長1年6ヵ月で、下記の4つの条件全てを満たす必要があります。
- 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
- 療養のための労務不能であること
- 連続する3日間を含み4日以上仕事を休んでいること
- 休職期間に会社からの給与の支払いがないこと
障害年金
病気やケガで障害を負ってしまい、ずっとその病気やケガと付き合っていかなければならない時に支払われます。厚生年金に加入している会社員の場合は障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受け取ることができます。障害の程度によって支払われる金額が異なります。
地方自治体の障害者向けの手当
地方自治体にはそれぞれ補助金制度が設けられ、支援してくれる場合があります。公共交通機関の運賃や施設利用費が割引されるなど、さまざまです。内容は自治体によって異なりますので、お住まいの地域の制度を確認してみるとよいでしょう。
会社の規程に沿って一定期間は就業不能状態をフォローしてくれる場合もあります。いざというときのために予めよく確認しておきましょう。
病気やケガで働けなくなる場合に備えること

上記以外に考えたいのは、民間の保険です。働く世代の中には住宅ローンの支払いがある人、これから大きくなる子どものために教育費を積み立てたい、親の介護に備えてお金を貯めておきたいと考える人もいます。どのような保険があるのでしょうか。
医療保険
三大疾病などの病気やケガの治療にかかる経済的負担を軽減するものです。保障の範囲内で保険金が支払われます。加入してから時間が経過している保険の中には現在の医療環境にそぐわず、日帰り入院や短期入院では保障対象とならない場合もあります。ライフステージに合わせて契約内容の見直しをすることが大切です。
就業不能保険
次に考えておきたいのは生命保険会社の就業不能保険です。これは、病気やケガなどの療養で働けない時に、お給料のように保険金を受け取ることができるものです。就業不能保険でいくらの保障が必要なのかを考える際には、下記のことなどを踏まえ、生活費がいくらかかっているのかを考えましょう。
- 家賃などの固定費にかかる金額
- 住宅ローン契約時に加入した団体信用生命保険の保障内容や月々のローン返済額
- お子様の教育費にかかる金額
- 公的保障制度を活用した場合に受けられる金額
これらのことなどから月々に必要な生活費を計算し、就業不能保険などを利用して収入の減少をカバーしましょう。
他に、収入保障保険や損害保険会社の所得補償保険もあります。どれが自分たちにあうのかを確認するのがよいといえます。
万一に備えた保障をもうけ、カバーしよう
このように、病気やケガで働けなくなると収入や支出のバランスが大きく崩れる事がわかりました。公的保障でカバーできる部分もありますが、自分たちでもしもの時に備えておくことも肝心です。これからのことを考えて、あなたと家族のためにどのようにしたらよいか考えてみましょう。もしも、これからのライフプランや保障についてどのように考えたらよいのか迷ったら、金融機関や保険相談窓口などで相談をしてみてはいかがでしょうか。