My Life is... #64

#64 株式会社花工房あげたけ 根鈴啓一さん

#64 株式会社花工房あげたけ 根鈴啓一さん

「地方」×「花屋」がこれからの時代おもしろい

  • ─ 現在のお仕事を選ばれたきっかけは?

     京都の大学を卒業した後、東京でデジタル系の人材を育てる教育機関で広報とブランディングを担当していました。仕事柄、デジタル化の流れを予測する中で、鳥取のような「地方」はこれからどんどん変わっていくだろうと感じました。また、実家は祖父母の代から続く昔ながらの花屋をしていましたが、花屋の形態もデジタル化を進めることで大きく変化するだろうと予想しました。
     勤めていた教育機関には、30~40代で新しい分野に挑戦しようと入学される方々もたくさんいて、そういう方々のイキイキと頑張られる姿に私も刺激を受けていました。「地方」×「花屋」にデジタルの技術を掛け合わせることで、どんな変化を起こせるのか。考えただけでとてもおもしろそうで、その変化をプレイヤーとして楽しみたいと思い、40歳を機にUターンして稼業を継ぎました。

    ─ 仕事内容を教えてください。

     恥ずかしながら花のことは全く分からなかったので、最初は祖父母より花屋を継いだ母から、花や店の経営について教わりました。しかし、逆に花のことをあまり知らないということは自分の強みにもなると思っていました。世間には、私のように、花にそれほど関心を持たずに生活されている方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々に、同じ視点から提案や情報発信ができるのではと思い、自分の経験と技術を使ってホームページの更新や、SNSでの積極的な情報発信の他に新しい商品の開発も進めています。
     例えば、新型コロナウイルス感染拡大の影響でお花見ができなくなった時に、自宅で桜のお花見が体験できるキットを発売したところ、多くのメディアで取り上げられ、全国から注文をいただきました。花屋になって、お花を受け取って喜ばれるお客様の笑顔を見て、あらためて花の持つ「人を元気にする力」を知りました。どうやったら世の中の人に、お花が人に与える効果を体感してもらえるのかを常に考え、新規事業の開拓に取り組んでいます。

想いを花で表現し、期待を超える感動を届ける

  • ─ 仕事で心がけていることは何ですか?

     既存の「花屋」の概念にとらわれず、疑うべき常識を見極め、新しい常識を提供することです。今、インテリア感覚で花を飾れる「スワッグ」という商品が人気ですが、当店では、贈る相手の好みやお店の業態などに合わせて花や植物をアレンジメントしたスワッグを、新居祝いや開店祝いとして制作しています。贈られた相手が「自分のために用意してくれた」ととても感動され、贈り主も「とても喜んでくれた」とうれしそうにされていると、花屋としてのやりがいを感じます。
     ただ「お祝いにお花を贈る」ではなく、「相手を喜ばせたい」という想いに応えるためのツールとしてお花を使う。お客様の想いを花や植物で表現し、相手の期待を超える感動をお届けすることが、私たちの仕事だと思っています。そのために、「お祝いだからこの花だろう」ではなく、「それはおもしろいのか?」「人の心に届くのか?」と自問自答し、スタッフと話し合いながら、商品づくりに励んでいます。

    ─ 現在の職場のいいところを教えてください。

     「仮説ある失敗」を推奨しています。「仮説ある失敗」とは、「こうしたらもっとよくなるのではないか」と考えて挑戦した結果の失敗のことです。よくないのは、何も挑戦しないまま時間を無駄に過ごすこと。もし失敗しても、その失敗を素直に参考にして、またよりよいものを作り出してしていけばいい。やってみて「これは不評だった」「もっとこうすればよかった」と心と体で感じることが一番勉強になります。だから、スタッフには敢えて「失敗してね」と言っています。
     スティーブ・ジョブズの「stay hungry」という言葉が好きで、ある程度で満足してしまわずに、貧しくあることで、動くエネルギーや意欲が生まれると考えています。私自身、いつも何かに挑戦していたいですし、スタッフにも変化を恐れず貪欲に成長する気持ちを持ち続けてもらいたいと思っています。


  • 植物の楽しみ方などのポイントを動画撮影

  • 撮影した動画はwebで配信します

  • 観葉植物の健康のため葉水は欠かせません

地元を大事にしながら新たな価値を広く発信していく

  • ─ プライベートなことを教えてください。

     京都出身の妻は、私の想いを理解して移住を了承してくれました。息子は小学校入学前でしたが、娘は小学校の途中で転校することになりました。でも、東京に住んでいる頃から「いろいろなところに友達がいる方が楽しいよね」と話して、長期休暇の度に、鳥取や妻の実家のある京都、旅行先など、各地で友達をつくっていたので、北栄町の小学校にもスムーズに馴染むことができました。
     マイブームは古道具集めです。日本人は昔から、かごを器に見立てて花を飾るなど、使わなくなったものを循環させて生活に取り入れてきました。これは世界に誇れる文化だと思います。休日には古道具屋やアンティークショップを巡って、花器に使えそうなものを探しています。他にも、海外旅行や料理、DIY、読書など多趣味です。今度行こうと思っている国はどんなところか、料理はどうしたらおいしくなるか、庇(ひさし)をつくるためにはどうしたらいいか、そういった物事の筋道を立てている時間がとても好きです。

    ─ 将来のビジョンを教えてください。

     これからも、いろいろな体験や経験をしていきたいです。料理やDIYもそうですが、何かをつくる時は、誰かに頼まれてするのではなく、自分の中のものをどうしても表現したくなって外に出している、という感覚です。この店を、いろいろな人が集まって成長できる場所としてある程度形づくれた時には、私自身はこの場所にこだわらず、また新しいチャレンジができたらと考えています。そして、そこで得られたものをまた花屋にフィードバックしたいです。
     店舗2階を改装して始めたフラワーアレンジメント教室には、SNSで情報を見て、地元以外からも幅広く参加していただけるようになりました。これまでも地元の皆様に長く愛されてきましたが、インターネットで発信することによって、まだ出会えていない世界中の人に、このお店を見つけてもらえる可能性が広がりました。これからさらに、インターネットを通じて存在する場所や相手との距離を超えてつながれる時代になります。そこで「何かおもしろそうなものがある」と見つけてもらえるよう、地域の資源を生かした新たな花の価値を創造し続けたいです。


  • シンガポールで見た「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」スーパーツリー

  • 愛読書はヤーコプ・フォン・ユクスキュル『生物から見た世界』

  • 趣味の料理。サーモンサラダにピンクペッパーとディルを散らして

  • 株式会社花工房あげたけ

    「個性」と「花」をかけあわせ、フラワーギフトをエンターテイメントにするグループ。
    いつも「人」を中心に考え、花を贈られる方とともに、人と人の間に華やぐ景色をデザインする花屋として北栄町で店舗を展開しています。また近年では、花や植物の販売だけではなく、ワークショップを開催し、多方面で花と植物のあるくらしを提案しています。
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